どんな教材?
「英語耳」は、その名の通り英語用の耳を作ることを目指したものです。つまり英語をカタカナではなく英語の発音そのままで聴き取り理解できるようになることを目的としています。
その手の教材は世の中にはかなりの数があると思いますが、この「英語耳」はその中でも最も著名なものではないでしょうか。
英語の発音記号を一つ一つ取り上げて詳しく解説するとともに、「英語耳」が完成するまでの具体的なトレーニング方法を提示しています。
この本の中心は発音を理解して身につけるところまでですが、その解説内容とトレーニング法は実に的を得ていて実践的です。
よい点
発音の解説が絶妙
こういった発音の解説書の場合、母音の解説から始めている場合が多いと思います。
でも日本人にとって英語の母音の違いって本当に分かりにくいですよね。
そこでこの本では子音から解説しています。
最初はseaのs、次にsheのsです。
この違いは分かります?
この違いは日本人にも分かりやすいものです。この分かりやすいところから入っていくと、発音に対する興味も損なうことなくすんなりと学習していくことが出来ます。この辺りの進め方が絶妙です。
トレーニングは「素振り」という考え
発音は頭で考えただけでは身につきません。
聴くだけでもダメです。
口に出して発音することを繰り返し繰り返しするしか身につかないものです。
そのことをこの本では「素振り」と表現しています。
うん。実に的確な表現です。
その素振りを繰り返すべき発音練習部分を、的確な実例を元にきっちり整理してくれているので、素振りだけに集中することが出来ます。
悪い点
今時CDというのは?
今時、音源の提供媒体がCDというのはいかがなものでしょうか?
そもそも最近はCDを聴ける・読み込める環境を持ってない人も多いのではないかと思います。
その代わり最近は誰でもネットにはつながるはずなので、ネット経由で配付した方が購入者にとっては助かると思うのですが。スマホで聴こうとしても、CDドライブ付きのパソコンで音声ファイルを取り込んで、そのあとスマホに転送、、、と面倒だし、そこまでできない人もいるのではと思います。
配付に制限をかけないといけないとしても、いくらでもやり方はあると思いますし。
発音Practiceは一覧にまとめてほしい
発音練習の実例は、発音パターン毎に各ページに記載されています。
ただ実際にこの本が提唱するトレーニングをするなら、毎日全パターンを(何度か)実践することになるんですよね。
いくら毎日繰り返すといっても、なかなか丸暗記は出来ませんので、本に書いている部分を追うことになります。つまり本を持ってページをぺらぺらめくっていく必要があるわけです。
これが面倒で、私の場合はわざわざ一枚の紙に書きだしてまとめました。
最初から一覧表にまとめておいてくれればいいのにね。
楽しさ
この本は発音という単調なトレーニングを出来るだけ飽きないように工夫はされていますが、やはり「素振り」というぐらいですから単調は単調ですね。
まあ、仕方ないですが。
英語基礎力向上効果
リスニング
この本は発音の理解と、「発音」の聞き分けにはすごく効果を果たしてくれると思います。
ただリスニングというのは発音だけの問題ではなく、英語の総合能力、ひいてはコミュニケーション能力までもが効いてくるものなので、そう簡単にリスニング能力が劇的に向上するものではないです。
リスニングを構成する要素のうち、まず一つを攻略。といった感じでしょうか。
スピーキング
リスニングよりむしろスピーキングの方に効果があると思います。
発音が理解できていれば、スピーキングに反映させるのはさほど難しくはないからです。
実際の外国人との会話の場では、きちんとした発音をしなくても結構通じるものですが、きれいな発音ができるようになれば、どんどん話してみたくなるはずなので、そういう意味でも重要なポイントです。
リーディング
無し。
ライティング
無し。
英会話力向上効果
上述のようにリスニングに劇的な効果が望めるわけではないですが、スピーキングによい影響はあるかと思います。
TOEIC得点向上効果
うーん、どうでしょう。個人的にはあまり効果があったという気はしません。
コストパフォーマンス
税込み1,728円。
十分、その価値はあると思います。
あとは上述の発音Practiceの一覧表を付録にでも付けてくれれば、言うことなしかと。
個人的な感想
この教材は結構、使い込みました。
上述の発音Practiceを一枚の紙にまとめて、お風呂の中で毎日、発音練習をしていました。
なぜ、お風呂の中か?
なんだか家族に聞かれるのも、こっ恥ずかしかったから。まあお風呂の中でやってても、結局は聞こえてたんですがね。
おかげで、発音に対する基本的な部分は身についた気がします。とはいえ、実際の会話ではまるっきり忘れてカタカナのままで発音している場合が多いですが。
息をするがごとく、自然にその発音が口から出てくるようになるまで「素振り」を繰り返さないといけないんでしょうね。。
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