2019年1月2日から3日にかけて、第95回箱根駅伝(東京箱根間往復大学駅伝競走)が開催されます。
日本人にとってもはや正月には欠かせない風物詩になってますね。
今回も優勝、シード権確保に向けた激しい戦いが予想されます。
その箱根駅伝についてまとめてみました。
箱根駅伝の歴史と特徴
第1回の開催は1920年と、およそ1世紀前のことになります。
なんとも歴史のある大会です。他のスポーツ競技も含めて、ここまで歴史のある競技会も珍しいのではないでしょうか。
ストックホルムオリンピックのマラソンに出場した金栗四三さんが中心となって企画されたというのは有名な話です。なんでも日本の長距離選手の育成のために、アメリカ大陸横断駅伝(!)を企画し、その予選会のために箱根駅伝が企画されたとか。
なんともスケールが大きい話です。結局そのアメリカ大陸横断駅伝というのは開催されなかったようですが。
開催日は、第1回では2月だったそうです。その後、1月開催となり、最終的に現在の1月2日、3日開催になったのは1955年(昭和30年)からです。
その間、太平洋戦争も経ています。さすがにその時は中断したそうですが。
関東の大学のローカル駅伝だった箱根駅伝の人気が爆発するようになったのは、テレビ中継が行われるようになってからでしょうか。1987年(昭和62年)のことです。
それまではラジオ中継でした。陸上競技少年だった私も、正月の行事の合間にラジオ中継を聞いていました。
テレビの影響はすさまじいですね。ただ走るだけの競技をこんなに多くの人が関心を持つようになったのは、考えてみれば不思議です。
さて、箱根駅伝のコースと言えば、箱根の山登り・下りが有名です。ただそれだけではなく2日間かけて行うことや、全区間20km以上と大学駅伝としては異例なほど長距離区間が続くことも特徴としてあげられるでしょう。
更に正月に行われるという特殊性もあって、箱根駅伝は他の駅伝とは一線を画するものとなっています。
コース&区間
出典:https://www.sponichi.co.jp/sports/news/2018/01/01/kiji/20180101s00056000145000c.html
箱根駅伝のコースは特殊です。って、誰もがご存知ですよね。
まず、箱根の山登り・下りがあります。通常の駅伝ではあり得ないほどの急こう配の坂が延々と続くコースです。これが箱根駅伝のコースを最も特徴づけ、人気の秘密にもなっているでしょう。
特に山登りの5区は最もタイム差が出る区間なので、本来なら各チームのエースを投入するべき区間ですが、平坦地が速い選手が、このような急こう配の登りに強いとは限らないので、最近は登りに強い選手を育てて5区に起用するというケースが多いようです。
5区6区を除けば、ほぼ平坦なコースですが、もう一つの特徴が全区間20km以上あるという点です。大学生の長距離競技は5000mや10000mが中心ですから、20kmはかなりの長距離区間ということになります。
それが10区間続くので、かなり異例な区間配置と言えるでしょう。普通ならまずあり得ません。
またその10区間それぞれの距離が大差ありません。20.8kmから23.0kmの間に収まっています。高校駅伝が3kmから10kmと区間距離に大きな差があるのとは対照的です。
これはエース区間で勝負が決するのとは反対で、むしろ9番目10番目といった選手がキーポイントとなるため、選手層の厚いチームが有利になると言えるでしょう。
開催までの日程
- 12月10日:チームエントリー(16名)
- 12月29日:区間エントリー
- 1月2日:往路開催
- 1月3日:復路開催
テレビ中継
日本テレビ系列で生中継。
前回第94回大会(2018年)プレイバック
- 優勝:青山学院大学 10:57:39
- 2位:東洋大学 11:02:32
- 3位:早稲田大学 11:09:09
- 4位:日本体育大学 11:09:28
- 5位:東海大学 11:10:09
出雲駅伝を制した東海大、全日本大学駅伝を制した神奈川大、そして前回覇者の青山学院大の争いとみられていました。
1区は東洋大の1年生、西山選手が抜け出て区間賞。優勝候補の3大学はトップから30秒差程度で、5、6、7位と続きました。出雲・全日本の1区で大きく出遅れた青山学院大は無難なスタートにホッとしたことでしょう。
2区は前回区間賞の神奈川大の鈴木健吾選手が期待されましたが、意外と伸びません。代わりに途中まで鈴木選手と並走していた青山学院大の森田選手が1時間7分台の好記録で区間賞を獲得して2位に上がります。また東海大の阪口選手も伸びません。この時点で青山学院大が俄然有利な展開になってきました。
青山学院大の3区は駅伝男の田村選手。青山学院大の首位奪取が見えてきました。ところが首位を走る東洋大の山本選手も粘ります。田村選手も飛ばしましたが先頭まで追い付くことは出来ず息切れ。逆に差を広げられてしまいました。しかし当面のライバル校、東海大と神奈川大との差は開いたため、青山学院大は更に有利になってきました。
4区は東洋大の1年生、吉川選手が快走。区間賞はなりませんでしたが区間新の走りで、やや不調だった青山学院大の梶谷選手との差を大幅に広げます。
そして山登りの5区。東洋大の勢いもここまでは続きませんでした。田中選手もよく粘りましたが、青山学院大の竹石選手の追い上げにあい、36秒差まで詰められました。しかし往路優勝は東洋大。予想を覆す大躍進でした。
そして翌日の復路。
東洋大を追いかける青山学院大は過去2年間、この6区山下りで区間賞に近い走りを見せてきた小野田選手。前半はなかなか東洋大との距離が縮まりませんでしたが、後半になり一気に差を縮めて逆転します。最終的には52秒もの差をつけました。
こうなると東洋大と比べると選手層の厚い青山学院大が圧倒的に有利になります。初出場の7区、林選手が区間新の走りで独走態勢に入ります。
更に8区の下田選手が他の選手とは格の違いを見せつけ区間賞。完全に青山学院大の独走となります。
そのリードを9区・10区を守って、青山学院大は箱根駅伝4連覇を果たしました。
有力校のエントリー予想
青山学院大学
選手名 | 学年 | 10000mベスト |
森田歩希 | 4 | 28分44秒62 |
橋詰太慧 | 4 | 28分28秒08 |
梶谷瑠哉 | 4 | 28分39秒07 |
小野田勇次 | 4 | 28分57秒30 |
林奎介 | 4 | 28分40秒11 |
山田滉介 | 4 | 29分21秒74 |
橋間貴弥 | 4 | 29分08秒65 |
鈴木塁人 | 3 | 28分31秒66 |
竹石尚人 | 3 | 29分22秒79 |
吉田祐也 | 3 | 29分17秒48 |
生方敦也 | 3 | 29分08秒39 |
吉田圭太 | 2 | 28分27秒40 |
神林勇太 | 2 | 29分23秒52 |
岩見秀哉 | 2 | 28分49秒13 |
湯原慶吾 | 1 | 28分53秒57 |
飯田貴之 | 1 | 30分35秒45 |
全日本大学駅伝のエントリーメンバーに、山田、生方、飯田選手が加わりました。
ほぼ順当なメンバー選定かと思います。故障者等もおらず、きわめて順調な状態と思われます。
さすがに青山学院大は層が厚いですね。16人の誰が区間エントリーされてもおかしくありません。
勢いのありそうな1年生から誰かがエントリーされそうな気がします。1年次の田村選手のように大飛躍する選手が出てくるのでしょうか?
東洋大学
選手名 | 学年 | 10000mベスト |
山本修二 | 4 | 28分50秒64 |
小笹椋 | 4 | 29分12秒05 |
中村拳悟 | 4 | 29分55秒19 |
相澤晃 | 3 | 28分17秒81 |
今西駿介 | 3 | 29分17秒37 |
小室翼 | 3 | 30分18秒46 |
土壁和希 | 3 | 29分46秒26 |
大澤駿 | 2 | 29分16秒92 |
野口英希 | 2 | 29分45秒11 |
西山和弥 | 2 | 28分35秒72 |
大森龍之介 | 2 | 30分48秒89 |
浅井峻雅 | 2 | 29分35秒05 |
吉川洋次 | 2 | 28分53秒51 |
田中龍誠 | 2 | 29分20秒02 |
田上建 | 2 | 29分45秒66 |
鈴木宗孝 | 1 | 29分17秒89 |
主力級の中では、渡邊、中村駆選手あたりがエントリー漏れしています。
出雲・全日本で不調だった西山選手は無事にエントリーされています。
さすがに青山学院大と比較すると層が薄く感じられますが、それでもなかなかなものです。
東海大学
選手名 | 学年 | 10000mベスト |
湊谷春紀 | 4 | 28分41秒77 |
湯澤舜 | 4 | 29分13秒44 |
東優汰 | 4 | 29分41秒83 |
關颯人 | 3 | 28分23秒37 |
鬼塚翔太 | 3 | 28分17秒52 |
館澤亨次 | 3 | 29分50秒67 |
中島怜利 | 3 | 29分15秒38 |
西川雄一朗 | 3 | 29分17秒97 |
高田凜太郎 | 3 | 28分57秒91 |
郡司陽大 | 3 | 29分05秒28 |
阪口竜平 | 3 | 30分12秒64 |
小松陽平 | 3 | 28分35秒63 |
松尾淳之介 | 3 | 28分50秒94 |
河野遥伎 | 2 | 29分31秒50 |
西田壮志 | 2 | 28分58秒74 |
鈴木 雄太 | 2 | 29分21秒82 |
故障者が続出していましたが、かなり復活してきたようです。
主力級のなかでは、前回1区を担当した三上選手が外れています。これはちょっと痛いですね。
しかし他の主力級はほぼエントリーされています。エントリーされたからといって完全な状態にあるとは言えませんが、これだけ揃えば10区間分は何とかなるのではないでしょうか。
有力校の予想オーダー
独断と偏見で有力校のオーダーを予想してみました。
青山学院大
区間 | 選手名 |
1区(21.3km) | 鈴木塁人 |
2区(23.1km) | 森田歩希 |
3区(21.4km) | 橋詰大慧 |
4区(20.9km) | 岩見秀哉 |
5区(20.8km) | 竹石尚人 |
6区(20.8km) | 小野田勇次 |
7区(21.3km) | 林奎介 |
8区(21.4km) | 吉田祐也 |
9区(23.1km) | 吉田圭太 |
10区(23.0km) | 梶谷瑠哉 |
前回メンバーは、ほぼそのままの区間配置としました。
原監督は成功したケースを踏襲する場合が多いですからね。
前回、唯一ブレーキ気味だった梶谷選手を10区に配置転換しました。
1区、2区、5区、6区と主要・特殊区間に前回経験者を使えるのは大きいです。しかもいずれの選手も故障や不調ではないようですし。
それに加えて今年度5000mのランキングトップの橋詰選手、前回7区区間新の林選手など、まさにスキ無しです。
原監督が自信満々なのもうなづけるところです。
東洋大
区間 | 選手名 |
1区(21.3km) | 相澤晃 |
2区(23.1km) | 吉川洋次 |
3区(21.4km) | 山本修二 |
4区(20.9km) | 西山和弥 |
5区(20.8km) | 田中龍誠 |
6区(20.8km) | 今西駿介 |
7区(21.3km) | 小笹椋 |
8区(21.4km) | 鈴木宗孝 |
9区(23.1km) | 中村拳梧 |
10区(23.0km) | 大澤駿 |
こちらも基本的には前回の配置を踏襲すると想定されますが、前回1区区間賞の西山選手がやや懸念材料か。
ということで西山選手は4区に回して、伸び盛りでタフそうな吉川選手を2区に、相澤選手を1区に回してみました。吉川選手も全日本ではメンバーから外れているので不安はありますが。
それ以外は基本的にはとにかく力のある選手から並べて先手必勝というオーダーです。やはり選手層がやや薄いのでそういう考え方になるかと。
あとは5区ですね。しかし決め手になる選手はいないかと。ということからして前回経験者の田中選手を再起用としています。
東海大
区間 | 選手名 |
1区(21.3km) | 關颯人 |
2区(23.1km) | 湯澤舜 |
3区(21.4km) | 館澤亨次 |
4区(20.9km) | 西川雄一朗 |
5区(20.8km) | 西田壮志 |
6区(20.8km) | 中島怜利 |
7区(21.3km) | 鬼塚翔太 |
8区(21.4km) | 松尾淳之介 |
9区(23.1km) | 小松陽平 |
10区(23.0km) | 湊谷春紀 |
ここは本当に予想が難しい。
その中で比較的期待できそうな、關、舘澤選手を早めの区間に配置することで勢いに乗りたいところです。
2区が何とも言えないのですが。。ここは耐える区間として粘れそうな湯澤選手としてみました。
5区、6区は結構、期待できるのでないでしょうか。西田選手は以前から登りの適性を見込まれているようですし、中島選手は前回区間2位だったので。
あとは、うーん。。結構いけそうな気もしますが、大撃沈の予感も。
レース展望
青山学院大有利という見方は動かないでしょう。
何しろ前回完勝した時のメンバーが7人残って、かつ主要・特殊区間で好走した選手が残っているのですから。
それらの選手は大きな故障・不調ということもなさそうですし、箱根未経験の1・2年生も順調に成長してきているようです。
更に青山学院大は例年、きっちり箱根にピーキングを合わせてきますし、原監督の選手起用も見事です。
大きなトラブルが無ければ、優勝確率はかなり高そうです。
対抗するのはやはり東洋大でしょう。何しろ10年連続で3位以内に入賞しています。箱根では絶対に外さないということです。
しかもこちらも1区から前回好走した、西山・相澤・山本・吉川選手がそのまま残っています。先手を取れば前回以上に期待が出来るでしょう。
少々不安なのは5区でしょう。区間賞争いまでいかなくても、区間上位で走れる選手が出てくれば。。
東海大は故障・不調となっていた選手の復活次第ですね。10000mまでの地力はどこの大学よりもあるのですから。
両角監督も今回から箱根を重要視しているようですし、前回ほど脆く崩れるようなことはない、、、と期待したいです。
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